「2016年冬ドラマ」

もう・・・中盤もすぎていますよね。
でもまあ、最初の感想をちらっと。

今回初回(中には初回を見忘れて2回目を見たのもあるけど)を見たのは
「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」
「お義父さんと呼ばせて」
「ダメな私に恋してください」
「ヒガンバナ」
「フラジャイル」
「スペシャリスト」
「ナオミとカナコ」
「マネーの天使」
「わたしを離さないで」
「スミカスミレ」
「怪盗山猫」
「家族のカタチ」
「臨床犯罪学者 火村英生の推理」
「真田丸」
「東京センチメンタル」
「傘をもたない蟻たちは」(2回目)
「愛おしくて」
「逃げる女」
「ちかえもん」

ぐらいかなあ~。
とりあえずがんばって1回は見ました。
でも、前のクールでおもしろいドラマが多くって
たくさん見てしまったので今回はその後見続けているドラマはずいぶん減ったと思います。
というか、この記事書いている段階ですでに「逃げる女」は終わっちゃてるし・・・。
「ちかえもん」はあと1回だし・・・。
「逃げる女」面白かったです。
このドラマは全部見ました。
ちゃんと感想書くと思います・・・たぶん・・・。

今回のドラマで印象的だったのはやっぱり
「いつかこの恋・・・」と「わたしを離さないで」です。
(あ、「真田丸」はもう初回の感想を書いたのでそっちで)
最初に鮮烈な印象だったのは「わたしを離さないで」の方。
「わたしを離さないで」は最初の2回が子役メインという
最近の連続ドラマではかなり珍しい形だったのですが、
その子役さんたちが演じた子供時代がとてもよかった。
寄宿舎で生活する子供たちの当たり前の日常風景。
学校と寄宿舎が一体となった日本の現実では珍しい場所であること、
子供たちの着ている服は清潔感はあるのだけれどほつれたところがあったり、
灰色っぽい色のものばかりだったり、
教えられている授業がどこか変だったり・・・
と小さな違和感が随所に挟み込まれながらも、
そこで生活をしている子供たちの姿はとても子供らしくて、
だからこそ、時折挟み込まれる大人になってからの姿が恐ろしかった。
彼らが生きた臓器としてだけに必要とされる存在であり、
身体から臓器が摘出されその役目を終えると
人知れず消却されてしまう・・・それが彼らに課された運命なのだとしたら、
そんな運命も知らず当たり前の子供時代を感情豊かに育つ彼らの存在が
悲しくて、切なくて・・・。
2話なんて、見終わった後気分が悪くなってしまったもの・・・。
2話ほどでなくても、このドラマを見終わるとズドンと気分が沈んでしまう・・・。
それでも、毎週金曜日を心待ちにしてしまうのは
やはりこのドラマの世界観に惹かれているんだろうなあ。
現実感の薄いこの物語の世界観を
ドラマとしてしっかりと説得力のある世界観として見せているのがすごい。
非常に挑戦的な企画を確かな技術でしっかりしたドラマに仕上げていると思うのに
視聴率で苦戦しているのは、やっぱり・・・
裏でジブリ爆弾を落とされたからなんだろうなあ・・・。
私も思わず見ちゃったもん「ラピュタ」と「魔女の宅急便」(^_^;)
もう何回も見ているはずなのに、何となく・・・。
だから初回と2回目は録画で見たんですよねえ・・・。
とりあえず、「コウノドリ」の時にこのジブリ爆弾こなくてよかったなあと
こっそり思いました。
それにしても思うのは鈴木梨央ちゃんの演技の巧さ・・・というか
役者としての魅力なのかな。
彼女が演じるとぐっと引き込まれる気がする。
「八重の桜」の時もとてもよかったし、
そういえば「あさがきた」も彼女でぐっとドラマに引き込まれたんだった。
綾瀬さんの子役を演じるのは2度目なんですねえ。
似ているという気はあまりしないのだけど、
しっくりくる・・・という感じはします。
鈴木梨央ちゃんはこれからも周りの大人がしっかりと仕事を選んで
露出し過ぎて疲弊していように、
でも、役者として続けていって欲しいなあと思います。
神木くんの女の子版みたいな感じで
コンスタントに見ていきたいなあと思う子役さんです。
というか、子役というよりも、彼女の演技はもうしっかり役者のそれだと思います。

も一個気になるのは月9です。
タイトルが長すぎて覚えられない・・・。
最初は不安が大きかったんですよね。
最近のフジテレビのドラマは迷走することが多いし。
今の坂元裕二に「東京ラブストーリー」みたいなドラマを書かせようとしているの?
とも思ったし。
まあ、今の坂元さんなら単純なラブストーリーにはしないかなあ・・・
という気もしたのですが、
フジならば無理やり空疎なラブストーリー書かせかねん・・・という気もしたからちょっと心配でした。
始まってしばらくは、結構用心しながら見ていたんですよね。
苦手だった頃の坂元さんの作風に戻るのかなあ・・・と。
今、中盤まで来て、それは杞憂だったなと思っています。
確かに正統派のラブストーリーだとは思いますが、
今の坂元さんが持っている問題意識をきっちり織り込んで、
その上で王道のラブストーリーをやっている気がします。
ひりひりするような世間の冷たさは、
現実はそこまで冷たくはないよ・・・と思う
・・・いや、思いたい。
ただネットの世界で感じるいらいらした感じを
現実社会にそのまま映し込んだらこんな感じになるかな・・・とも思う。
今、ドラマは中盤に差し掛かっていて、
震災を間に挟んで大きく展開しました。
現実にしっかり足をつけた骨太なラブストーリーになることを期待しています。

このドラマに対して、介護業界からクレームが出たそうです。
介護業界をブラックに描きすぎていて、
熱意を持ってこの世界に入ろうとしている若者の心をくじくから
テレビ局はもっと配慮して欲しい・・・ということをホームページに載せたそうです。
「明日ママがいない」の時にも同じようなクレームが出て、
当時はその主張を支持していましたが、
今回は同じようでいて、全然違うと思うんですよね。
どこが? と言われると明確に説明できないんですが・・・。
ただ、このことを書いた新聞の三面記事の上に、
介護者が老人を建物から投げ落として殺害した事件の記事があって、
殺害した動機が介護のストレスだったみたいな記事だったので
なんかクレームが空々しくて・・・。
現実に介護の現場が低賃金で労働環境が悪いことはすでに知られていることで
業界の人はドラマにクレームつけている前に
やれることはいっぱいあるだろうと思うんですよね。
このクレームは正当なもの・・・というよりも
喫煙シーンをむやみと糾弾するタイプのクレームに近いと思いました。
ドラマに出てくる業界を全ていいように描いたらドラマなんて成立しませんからね。
もちろんクレームを入れるというのも物語の一つの感想の形だし、
いろんな意見を出す自由もあるとは思いますが、
作り手が制作に必要な意見なのかどうかはきちんと精査して欲しいなとは思います。
クレームをおそれて、作品の描こうとしている世界観がブレブレになってしまうことが一番怖い。
NHKの大河なんかはその辺が上手く処理できなくて迷走することが最近多い気がする。
今のところは大丈夫そうですけどね。

あとぶっ飛んでいて面白いのは「ちかえもん」かな。
私は特に時代劇が好きというわけではないので
NHKの木曜時代劇枠の作品はほとんど見たことがないのですが、
お侍さん中心の時代劇ではなくて近松が主役ということで
ちょっと面白いかなあと見始めました。
なんせ、大河で松尾芭蕉やってくれないかなあ・・・というのが
ずーっと思っている夢なので、
近松で上手くいったら芭蕉だっていけるんちゃうん?
という思いもあって。
でも、その辺の期待の斜め上をいくドラマでしたね。
替え歌やアニメを使って自由自在にドラマを作っていて
それがツボにはまって面白い。
これだけ自由にやられると、この時代にそんなことある訳ないやん!
なんて考証に目くじらたてるものあほらしくなる。
いや、ふざけている部分以外はちゃんとしているんですよ、きっと。
だからこそおふざけ部分が楽しめる。
あり得ない自由な表現も、
江戸のあの時期の明るさや勢いを上手く表しているんじゃないかという気がする。
まだ江戸の体制が固まるか固まらないかの頃で
上方で文化が様々な形で花開いた頃。
それに、書けなくてもんもんとする中年作家の近松が
とにかくキュートなんですよね。
中年の情けなさを全開にしながら、あれだけキュートなのは
やはり近松の中の人である松尾スズキさんの魅力なんだろうなあ。
自身で劇団を主宰して脚本も書かれる松尾さんが
人形浄瑠璃作家を演じるというのも、
なんとなく現実が上手く役に活かされていて面白い。
それに遊女役の早見あかりさんが美しい・・・。
もちろん万吉役の青木くんもいい。
青木君はすっかり藤本さんのお気に入りの役者さんですね。
信頼していなければ、なかなかああいうキャラクターを任せられないと思いますもん。
もうすぐ終わってしまうのが寂しいです。

個性的で強烈な印象だったり、見終わった後どーんと沈んでしまうような作品の隙間に
軽いコメディ調のドラマも結構あります。
その中でも一生懸命見ているのは「お義父さんと呼ばせて」と「家族のカタチ」かな。
「お義父さんと呼ばせて」のほうは文句なく楽しいホームコメディ。
エンケンさんが不器用だけど人間味のある素敵な中年男性を演じているので
ちゃんと説得力があります。
なるほど、この人だったら好きになっちゃうかも・・・。
そのエンケンさんを引き立たせているのが
何もかもエンケンさんと正反対のお父さん役、渡部さん。
この二人の対比が面白い。
そして、渡部さんがコミカルにこのエリート父さんを演じているからこそ
ドラマ全体がちゃんとコメディになっているんですよね。
お母さん役の和久井さんもいいアクセント。

そして「家族のカタチ」
これもだんだん面白くなってきました。
でも、初回の立ち上げで損してるんじゃないのかなあ。
役者さんにもいろいろなタイプがあって
それぞれに適した見せ方っていうのもあるんだと思うんですよね。
で、私、香取くんも好きな役者さんだし、
上野樹里ちゃんもすごく好きな女優さんの一人。
だけど、この二人、演じる役を結構選ぶ気がする。
上野樹里ちゃんはどちらかというと映画向きだと思うんですよねえ。
映画だと彼女の憂いのある表情が余情となって上手くはまる。
でもテレビだと、単に不機嫌に見えちゃう。
それはテレビという媒体の特徴なんだと思うんだけど、
彼女みたいなタイプはどっちかというとテレビでは役を選んじゃうかなあ・・・。
のだめみたいに思いっきりぶっ飛んで明るい方に振るか、
もしくは過去に大きなトラウマがあるとか、人に言えない秘密を持っているとかで
不機嫌な調子で木訥に演じても、最初から視聴者が共感できるだけの
筋立てとか設定がしっかりとある役。
今回の場合、彼女がどうしてああいうライフスタイルを選んでいるか、
どうして離婚したのかが語られたのって中盤だったから、
それまではずっと口うるさい、いつもいらいらしている、やな女なんですよね。
ちらりちらりとはそれだけじゃないよって所も見せていましたけど。
これが上野樹里ちゃんだけだったらまだよかったんだけど、
香取君も同じように不機嫌キャラ。
主役二人が二人とも不機嫌だと、見ていて不愉快になりますよね・・・。
その分周りのキャラクターがみんな明るくて、楽しいんだけど、
それはやっぱりドラマの基調にはなかなかならないんですよね。
かえってうざさが際だって逆効果。
上手い役者さんというと語弊がありますが、
器用な役者さんだと、こういう不機嫌な役でも
上手く魅力を引き出して人物を作るんでしょうけど、
二人ともそういうタイプじゃないもんなあ・・・。
「変化していく」という部分を見せるために、
逆算してやたらと最初をマイナスにしておくというのも分かるんですけど、
脚本か、演出か、演技かで、自覚的に魅力付けをしておく必要があると思うんですよね。
話的にはだんだん面白くなって来ている気がする。
それだけにもったいないなあという気がします。

意外と面白くて見続けているのは「ナオミとカナコ」
ドラマの概要を読んだ時にはちっとも興味がなくてすぐにやめるだろうと思っていたんだけど、
毎回ちゃんと山場があって、引きがあって、
すごく、ドラマのツボがきっちり押さえてある気がする。
だから話自体にはそれほど興味がないのに、
ドラマとして引きつけられて見ている感じ。
ある意味セオリーをきっちり押さえて丁寧に作れば
目新しくはないストーリー展開でも十分面白いということを証明しているドラマだと思う。
中国人役の高畑淳子さんの演技が一番の見もの。

とまあこんな感じで見ています。
もう終盤戦に入っていますが、ま、最初の感想はこんな感じ・・・ということで(^_^;)


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「エンジェルハート」

面白かったかと言われたら、正直よくわかんなかったんですけど、
とにかくマンガの世界観がそのまま実写になっていて
それだけでもう嬉しかった。
上川さんの冴羽再現率の高さにびっくり。
上川さん自身がもってらっしゃる雰囲気って
あんまり冴羽っぽくはないと思うのですが、
身体つくって、姿勢を整えて・・・ってすると
こんなにも似てくるんですねえ。
上川さん自身が、整ったお顔をされているんだけど
あまり個性的でないと言うか、印象の強いお顔たちではないので
(失礼、これでも「大地の子」からのファンなんです、一応)
それもよかったのかなあ・・・と。
他の登場人物も、マンガの世界から抜け出して、
現実の世界に現れたらきっとこんな感じ・・・と納得できる人たちばかり。
実写で、北条司の世界を見られた幸せ!
とはいえ、やっぱりストーリー的には、実写にすることで
いろいろ嘘っぽく感じたところはありました。
ああいう世界観の話を実写でするのって難しいんだなあと改めて思いました。
スケール感がどうしても小さくなっちゃうんですよね。
マンガだったら想像で埋めていた部分も全て映像として表現しないといけなくなるから。
話がなんとなくちゃっちく感じたのが残念でした。
もう少し演出や見せ方で何とかなる部分もあったのではないかなあ。
それでもなんとか上手くドラマサイズにまとめたなあと思います。
とりあえず最後までちゃんと見続けられたくらいには面白かったです。


というわけで、ようやく前のクールのドラマ感想終わりっ!
長かったなあ・・・。
書いても書いても終わらないんだもん。
つまりはそれだけたくさんのドラマを見ていたっていうことなんですよね。
このクールはドラマがバラエティに富んでいて
それぞれが違った魅力を持っていて面白かったです。
毎回これくらいいろいろなドラマが放送されると面白いんだけど、
なぜか同じような企画のドラマが多いことが多くって・・・。
たぶん、このクールは時間が経てば「下町ロケット」の成功ばかりが取りざたされるクールになるでしょうが、
その陰にこれだけたくさんの力作があったことをきちんと覚えておこうと思って
がんばって見た分全部の感想を書きました。
もちろん、私的に一番は「コウノドリ」だったんですけどね(^_^)v
「コウウノドリ」含め、SNSを上手く利用したドラマが多かったのも印象的でした。
そして、多くのドラマがそれぞれの形でネットのメディアに好意的に取り上げられたクールでもありました。
足を引っ張るだけじゃなくて、こうやって上手く後押ししてくれることもあるんだなあ・・・と感じたのが記憶に残っています。
こんな風に好意的にドラマが取り上げられることで、
いい方向でドラマに注目が集まるといいなあと思います。
テレビドラマは決してオワコンじゃないと再認識できたクールでした。



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「破裂」

もうそろそろ前のクールの感想終わりっ!
と思っていたら思い出した。
そういえば「破裂」も見ていたんだった(^_^;)
これはNHKの土曜ドラマだったので厳密には前のクールというくくりじゃないんだろうけど。
土曜ドラマの中でも全7回と比較的長いドラマだったので、
ドラマ自体の分量はいわゆる連続ドラマとほとんど変わらないですね。
この時は同じ作家さんの作品で「無痛」もドラマ化されていました。
池井戸さんもそうですが、この人の作品が当たる!と思ったら
一気にドラマ化するのはやめて欲しい。
なんとなくもったいない気がする。
何がもったいないんだって言われたら上手く答えられないんだけど、
一斉によってたかって消費して、飽きたらほいおしまいと
簡単に打ち捨てられる運命な気がして・・・。
小説やマンガだって一夕一朝で書ける訳ないんだから
そんな風に一気に映像化することで簡単に消費して欲しくないなって思ってしまうんですよね。
いらん老婆心なんでしょうけど。
この作品に関しては、最初「無痛」と同じ作者というのは知らないでドラマを見始めました。
どちらも医療を題材にしているとはいえ、
「犯因症」という架空の設定を中心に展開する「無痛」と
老人の延命という実に現実的な問題をテーマにして、官僚と医師の対立を描く「破裂」が
同じ作者の作品とは結びつかなかったんです。
でも、不思議とこの二つのドラマの筋が自分の中で混ざることが多くって、
同じ作者と聞いた時に妙に腑に落ちました。
警察と一緒に猟奇殺人を追っていく「無痛」に比べれば、
画期的な心臓病の治療法を巡って知力の限りを尽くして官僚と医師が戦うこの「破裂」は
ともすれば地味な感じのドラマになってもおかしくはないと思うんですけど、
香村医師を演じた椎名桔平さんと官僚の佐久間を演じた滝藤賢一さんの怪演合戦で
ある種「無痛」よりもずっとけれんみのあるドラマになっていました。
演出っていうのも大きかったんでしょうね。
椎名さんと滝藤さんの演技合戦がとにかく見応えがありました。

面白いなあと思ったのは、私、最初はどっちかというと佐久間の考えに同調して見ていたんですよ。
完治する見込みのない人の命を無理に延命させるより
ぽっくりいかせてあげる方が幸せなんじゃないかって。
香村の意見の方が医師のエゴなんじゃないかって。
けれども佐久間の考えを政府の方針として押し進めてしまうと
それはもう恐ろしい生命の統制に繋がってしまう。
煎じ詰めてしまうと、生産活動をしまくなった者は無用とされて
生きる価値などないと政府が決めるって言うことですよね。
確かに膨張する医療費は問題だし、
完治する見込みのない病人に医療の限りを尽くしていると
やがて今の医療体制は破綻してしまう。
だからといって積極的に殺していいということにはならないはず。
佐久間の暴走ぶりが加熱するにつれ、
上昇意識の強い鼻持ちならない香村がどんどん正しいように思えてきた。
この治療を施せば死ぬと分かっている治療を行うことは医師としてできない! 
という香村の信念はどんな時も揺るがず、
それがまた実に主人公然としていて、どんどん幸村の考えに引き込まれていきました。
香村が自身の医療過誤を隠蔽しようとしてまで出世にこだわっていた理由が後半明かされたのですが、
それがすごく府に落ちるものだったんですよね。
自分は学生時代にこの画期的な治療法に気がついた。
それからは時間との競争だった。
自分がこの研究を完成させるのが1日でも1分でも遅れれば、
それだけ助けられるはずの人命が失われる。
助けられるはずの命を一つでも多く救うために
自分はどんな手段を使っても上に上り詰め、この研究を完成させなければならない・・・。
香村かっこいい! って思いましたもん。
そうか、この人の傲慢な態度はこの考えが根底にあったからなのか。
私には医師の、ましてや医療の最先端を研究している人の気持ちなんて想像もできなかったけれど、
こういう使命感に追われるように生きている人もいるんだ!
とすごく新鮮に思えました。
部下の厨が佐久間にそそのかされて自分の出世の為だけに
「ぴんぴんぽっくり」療法の治験に付き進んでいくさまが描かれたり、
父親の倉木蓮太郎が息子の思いを感じて自分の為にも息子の為にも
少しでも長く生きることを望むようになったり・・・ということもあって
最後には完全に香村先生の側に立って、佐久間憎しの視点で物語を見ていました。
でも、このドラマの上手いところはそれで済ませなかったところですよね。
香村先生がついに香村療法を完成させ、
厨によっていつ破裂してもおかしくなくなった心臓を抱えたお年寄りたちが
香村の新療法を求めて香村の元に殺到する。
勝ち誇った様子で患者たちを受け入れるその香村の耳元に、
あるお年寄りがぼそりとつぶやく。
「死なせて」
この台詞で終わったのがこのドラマのすごいところ。
最初に二つの考え方を対立させておいて
ドラマとして視聴者をぐぐーっと主人公の方に引き寄せておいてから
最後の最後でまたドンと二つの考え方に引き戻す。
佐久間の考えは確かに歪んだものだった。
けれども、香村の考え方もまたこの問題の解決策ではない。
さあ、あなたはどう考えますか?
と最後に視聴者に問題を投げかけて終わった感じがして秀逸だと思いました。
エンタメとして十二分に楽しませておいて、
最後にきれいにはまとめずに問題提起して終わる。
これがもし、香村先生が勝った。よかったよかった・・・で終わっていたら
ここまで印象には残らない作品だったと思う。
でも最後の一言があったおかげで単なるおもしろおかしいだけのドラマにならなかったんだと思います。
椎名さん、滝藤さんの熱演もあって、NHKらしい面白いドラマでした。


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