「無痛」

途中の緊迫感あふれる展開は面白かったんですよね。
ストーカーのくだりくらいからどんどん謎が交錯していって
緊迫感も高まっていて面白かったんです。
特に伊藤敦史くん演じる早瀬が、白神に言いくるめられて
イバラくんを躍起になって追うところ。
今まで悪を追いつめるはずの刑事にも「犯因症」が現れることの物語上の必要性が
もう一つピンときていなかったのですが、
ここでこれはめちゃくちゃ面白い設定だと思いました。
白神先生は早瀬の犯因症を見抜いた上で、
彼の正義感を刺激してイバラ君を追いつめるための猟犬に仕立て上げた。
確かに早瀬から見ればイバラ君は心神喪失を理由に罪を免れる輩たちと同じようにしか見えない。
本当の悪人は自分を操ろうとしている白神先生の方なのに。
視聴者におそらくイバラ君は実行犯ではあるけれど
彼が殺人鬼なのではなく、彼が殺人行動に駆られてしまった裏には
白神先生の存在がある・・・という所までにおわせてから
早瀬にイバラくんを追わせたのは面白いなあと思っていました。
追われるほうではなく、追う方に殺人者の証である犯因症の様相が現れているということ。
一般的な見方では本来は反対であるはずな現象。
けれどもここまでの謎解きで、視聴者はイバラ君が実は純粋な青年であることを知っている。
もちろん心身喪失を理由に罪を免れようとしているわけではないことも。
一方、手に入れた範囲の情報で、犯人像を作り上げ
イバラ君を追いつめようようとしている早瀬は本当に正義なのか。
正義を追求するあまり悪に陥っていくというのはそれほど目新しい観点ではないけれど、
ここではわかりやすくそれを見せたのかなあと思いました。
犯因症は犯人を見極めるための症状というよりは、
人間がある一線を越えようとしている時に見せる症状とすれば
そこに善も悪もない・・・ということだったのかなあ。
結局、無痛症とのつながりはよくわかんなかったんですよね。
最後に為頼先生と白神先生のやりとりで
どどどーっと一気に説明されたから聞き逃しているのかも。
ただ、為頼先生が、痛みも人生の一部であると悟り、
それらを自ら受け入れて亡くなった恩師や妻の中に
何らかの答えを見つけだしていたので
人を苦しめる痛みの中にも人を人たらしめる要素がある
ということが言いたかったのかなあ・・・とぼんやり。
それでもやっぱり白神先生が本当は何をしたかったのかよくわかんなかった・・・。
白神先生が抱えている闇のような物がもっと上手く伝わったら
物語が引き締まったのになあ・・・と思わなくもない。
結局このドラマで一番印象深かったのは、
イバラくんの白神先生への思い。
純粋に白神先生に向けられるイバラくんの思いだけが
切なくじんわりと心に残りました。
その思いが報われないものであったとわかったから尚更。
白神先生はあくまでも彼を便利な実験材料としてしか見ていませんでしたもんね。
私は報われない一途な思い・・・というモチーフにやたらと弱いみたいです(^_^;)
痛みを感じない彼は自分を傷つけるものに対して非常に寛大で、
その一方で、自分に対して向けられる優しさに対しては
過剰に感知してしまうんですね。
そんなイバラくんの切ない存在感に支えられて最後まで完走したと思います。
イバラ君を演じた中村蒼くんがすばらしかった。
孤独な心を抱えた心優しい、
けれどもその中に得体の知らない物を抱えているんじゃないかと思わせるたたずまい
イバラという青年を見事に体現していました。
イバラくんの最期は、白神先生に体当たりして、
白神先生もろともガラスを突き破って高層階階から落ち転落死する
という悲しい物でしたが、
白神先生の自分勝手な思惑を知ってもなお白神先生への思慕を捨てず
彼とともに死ぬことを選んだことはとてもイバラ君らしかったなあと思いました。
最期は大好きな白神先生をと共に逝けて幸せだったのかもしれません。
この世は痛みを感じない(つまり人の苦しみの大きな要素を占めるものから解放されているはずの)
イバラ君にとって辛いことばかりだったでしょうから。

でも、主役の印象の薄いドラマだったなあ・・・(^_^;)

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おたんじょうびおめでとうございます2016

34回目のお誕生日おめでとうございます。
綾野くんのお誕生日におめでとうって書くのは
かれこれ4回目になります。
1回目はたぶん「カーネーション」でまだ周防さんが登場していた時。
あれから4年が経つんですねえ。
・・・って気になって、今自分で昔の記事をたどってみたら、
4年前は「カーネーション」の記事の一部として
綾野君の誕生日に触れていただけだったんですね。
当時の自分は周防さんという人物、
そして「カーネーション」という作品にははまりまくっていましたが、
まだ中の人である綾野君に対してはそれほど関心を持っていないことが
文章の端々から感じられて、我ながら感慨深い。
全てはここから始まったんだよなあ・・・。
あれから4年、すごく密度の濃い時間だったなあと思います。
今年もすでに新しい作品に入っているのかな?
それともこれからなんだろうか・・・。
思えば4年前の今頃も「ヘルタースケルター」の撮影で金髪だったんですよね。
今もお友達のインスタグラムの写真に写っている様子では金髪みたいですよね。
次の撮影はあの作品なのかなあ。
金髪には定期的になっていますね。
4年前の私は周防さんとしての綾野君にしか興味がなかったので
ネットで金髪のヘルタースケルター仕様の綾野君が笑っている写真を見つけた時には
見なかったことにしよう・・・と、あわててウィンドウを閉じたのが
今では懐かしい・・・。
もはや金髪くらいでは驚かなくなりました。
でも、演じる役ごとに、取り組む作品ごとに新鮮な驚きを感じるのは
ずっと変わらない。
今年公開が予定されている作品もバラエティに富んでいて、
どれもが違った見所がありそうで、
それぞれの作品の中で全く違う綾野くんを見ることができそうで
楽しみでなりません。
お誕生日おめでとう。
たくさんのファンがTwitterでブログでSNSでこの言葉をつぶやいています。
みんなの思いがちゃんと力になって綾野君に届きますように。
綾野君のこの1年が実り多い一年になりますように、
ネットの片隅からお祈り申し上げます。



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偽装の夫婦

実はこのドラマ、見終わってみると面白かったんだか、
いまいちだったんだか、よく分かんなくなっています。
まとめ方がすっきりしなかったって言うか、
結局何がやりたかったんだろう・・・っていう気持ちが残ったからかな。
部分部分はすごく好きだったんですよね。
超治さんの屈託のないキャラも好きだったし、
ヒロのスーパーマンぶりも面白かった。
この二人って、古典的な物語の役割から行けば、
きっと男女逆なんですね。
ヒロの名が示すとおり、ヒロはヒーローで
ヒロインが助けてーって持ち込んできたやっかいごとを
超人的な能力で解決してしまう。
そこに説得力を与えたのはやっぱり天海さん自身がもっているオーラ。
天海さんさすがだなあと思いました。
きっとこの役、天海さんじゃなかったら成立していないんじゃないかな。
ヒロがヒーロー性を発揮する部分に対してはいかにも作り話的。
あはは・・・と笑って単純に楽しめました。
で、そこに恋というやっかいな要素がからむ。
本来なら何の問題もないカップルのはずの二人が、
超治がゲイということで難しい関係性になってくる。
ちゃんと両思いなのに、お互いがお互いを必要だと思っているのに、
でも、それは恋愛関係にはなり得ない。
それって切ないですよね。
ヒロが超治への思いを耐えきれなくなってまるで少女のように泣くシーンは
ものすごく好きでした。
天海さんのこんな乙女のように純粋な表情を引き出しただけで
このドラマは価値があったんじゃないかとも思いました。
でも、そこに無理に結論をつけようとしすぎたのかなあ・・・という気はします。
出された結論そのものはすごく納得できたんですけど。
肉体的な関係はないけれど、
お互いが必要だから一緒にいる(いたい)っていう関係性ってありだと思うんだけど、
そんでもって世の中の時間を経た夫婦って
結局、超治とヒロのようなカップルになっていいくんじゃないかって思うんだけど、
なんとなくすっきりしない。

二人を取り囲むしおりさんや保くんの描き方がしっくりこなかったからかもしれない。
この二人はそれぞれの人物・・・というよりも、
超治に対しての保、ヒロに対してのしおり
という関係性だけが必要とされた人物な気がして、
そして、超治とヒロが一旦分かれたときに、
それぞれのパートナーとしてすんなりと収まってしまったことで、
本来ヒロと超治が抱えている問題として掘り下げて考えられなければならなかったことが、
この二組のカップルを作ったことでぼやかされてしまったような
そんな気がしてしまったんですね。
上手く表現できないんですけど。


このドラマの超治とヒロの関係を見て、「きらきらひかる」を思い出しました。
あ、江國香織さんのほうの「きらきらひかる」です。
作品の雰囲気は全然違うけど、たぶん人物の配置はとても似ている。
超治は睦月で、ヒロは笑子、そして保くんが紺。
しおりさんにあたる人はいないんだけど、
3人の関係に絞って描いた「きらきらひかる」のほうが、
お互いに大切に思っているのに届かない想いの切なさが
より切実だったなあと思ってしまった。
違う作品なので違う描き方、結論なのは当たり前なんですけど。
主役二人をくっつける為に簡単に放り出されてしまった保としおりが
物語の後味を薄っぺらいものにしてしまった気がします。
でも、最後まで落としどころの見えない展開は楽しめましたし、
この脚本家さんのドラマにしては珍しく(すみません、独断と偏見です)
レギュラーで出てくる人がみんな愛おしくて見やすかった。
工藤君、また好青年の役なのね・・・って思っていたら、
最終回で超治に別れを告げられたときに見せた顔がすごくよかった。
工藤君の本気を見た気がしました。
これからはもっと役柄の幅も広がってくるでしょうし、
いろんな表情を見てみたいなと思います。


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