天皇の料理番

これはもう、問題なしに良作のドラマだったなあ。
脚本も演出も演技も、寸分の隙もない感じでしっかりとドラマが作ってあって。
明治・大正・昭和初期の街のセットもすごかったし。
もとの堺正章版のドラマは見ていなかったので、
純粋に初見のドラマとして楽しんでいました。
お料理がおいしそうだったのがよかったなあ。
篤蔵が西洋料理に惹かれたっていうのがとても説得力がありました。
修行時代は篤蔵のあぶなっかしさにハラハラして見ていましたし、
フランス留学時代は相手役の女の子がとてもキュートで魅力的だったので
どうするのこれ! と心配になりました。
俊子と復縁するんだよねえ? って思いつつ、
でもフランソワーズがこれで出番がなくなるのが残念で残念で・・・。
これ本当に1クールじゃなくて2クールで見たかったです。
なんだったら1年ものでもよかったんちゃうん?
題材によって1クールが適したドラマ、もっと長いスパンでやったほうがいいドラマ
それぞれだと思うんですよね。
これなんかはもっとじっくり描いてもいいドラマだった気がします。
民放版大河って感じでもいいんじゃないかな。
最近本家大河が迷走していることもあるし・・・。
そういえば、前にこの枠で「仁ーJIN」を放送していた時も
確か大河ドラマが迷走してて、「仁」が大河でいいんちゃうん・・・みたいに言われてたっけ?
そう思うと日曜の9時枠は安定して上質のドラマが放送されているなあ・・・という印象。
こういうオーソドックスなドラマをかっちり作れるのがTBSの底力なんだろうなあ。
佐藤君はいい役者さんだなあ・・・と思っていますが、
中性的な顔に細い身体っていうこともあって、
少年的な役はぴったりはまるけど、大人の役のイメージがあんまりなかったのですが
この役は見事にはまっていましたねえ。
初回は十代だったこともあって、躍動感溢れる身体の動きが身体能力の高さを感じさせて、
取り立ててアクションシーンのない役でも身体能力の高さって言うのは演技に必要なんだなあ・・・
って改めて思いました。
大人に成ってからも身体の細さはそんなにマイナスに感じなかったなあ。
篤蔵の喜怒哀楽をしっかりと表現してドラマを引っ張るという点で、
改めて演技力の確かさを痛感しました。
兄やん役の鈴木くんも文句なしにすごかった。
最期なんて本当に病人みたいだったもの・・・。
役者としての根性を見せてくれましたねえ。
身体をこわされなければいいのですが・・・。
そういう役作りもすごかったんですけど、
演技そのものも、才能が有りながら何者にもなれず病で死んでいかなければならない無念さと
篤蔵の中にかすかな希望を見いだす切ない感じがじんじんと伝わって来て、
鈴木君もいい役者だよなあ・・・と改めて感じさせてくれました。
何より黒木華ちゃん、よかったですよねえ。
華ちゃんの佇まいがあの時代にとてもあっているし、
美人過ぎなくて、可憐なかわいさがあって、
柔らかい雰囲気の中に凛とした意志の強さも感じさせて、
もう、大好きでした。
初回のラブラブの新婚時代も、
篤蔵のことを思って身を引くために篤蔵に別れ話をする時も、
最期の年月も、みんな愛おしかった。
鈴の小道具がとてもうまく効いていて、あれは原作や前回のドラマからあったものなんでしょうか?
佐藤君と並んだ時のバランスもとてもよくて、かわいらしい夫婦でした。
さすがTBS60周年記念ドラマだけのことはありました。
こういう冠を付けると力が変な方向に入ってイマイチ面白くないドラマができあがることも多い中
ドラマのTBSの地力を見せつけたドラマだった気がします。


web拍手 by FC2

Dr.倫太郎

春クールのドラマで役者のさんの演技を堪能したなあ・・・と思ったのが
この「Dr.倫太郎」と「天皇の料理番」でした。
演出的にもこの2作がダントツで好きでしたねえ。
全体的にドラマの王道という感じで、全方面的に完成度が高かった「天皇の料理番」に対して
「Dr.倫太郎」の方がちょっと不安定で歪な部分があるなあ・・・って感じがしました。
その分個人的には思い入れが強くなった気がします。
「Dr.倫太郎」の脚本は中園ミホさん。
この人が書いたドラマを最後まで見たのって初めてじゃなかろうか・・・と
ウィキペディア先生で調べてみたところ、「下流の宴」は見た! と思い出した。
もしかしたら古いもの「Age35」とか全部見たかも知れないけど
もうどんなドラマだったかさえ覚えてないなあ・・・。
「下流の宴」はこの作品で窪田君を知ったので、それだけが強烈に印象に残ってる。
教育ママなお母さんにスポイルされてしまった無気力な息子役の窪田君
ものすごくよかったんですよねえ・・・。
とは言え、あのドラマも脚本的にはも一つ好きではなくて・・・。
中園ミホさんが書く作品って、登場人物の描き方がもうどうしても苦手。
小説に文体があるように、マンガ家に作風があるように、
山田太一とか倉本聰・・・っみたいに、はっきりと特徴的な口調がなくっても
脚本家さんにもにじみ出ている個性って言うのはちゃんとある。
役者さん、演出家っていうフィルターを通すので
小説やマンガよりも表にはでにくいのだけれど・・・。
私は中園さんの作風がどうしても苦手で、
それは、このマンガ家さんの絵柄がどうしても性に合わないという感じの感覚的な苦手さで、
視聴率の高い作品をいくつも書いているとか、賞もいっぱいとっているとか
そんなことはわかっているんだけど
この人の書いているドラマを見ると、さわさわと心を逆なでされるような感じがする。
人を惹きつけるストーリー展開とか、印象的な決め台詞とか
上手いなあとは思うけど、それ以上に登場人物に心を寄せられない。
でも、このドラマはそんなこと忘れさせてくれたんですよねえ・・・。
堺さんの個性と存在感が、ドラマ全体を柔らかい雰囲気で包み込んだのかなあ・・・。
演出もすごくよくって、
初回見た時はTVドラマにしてはずいぶん落ち着いた色合いだなあとびっくりしたんだけど
だんだんそれが心地よくなって来た。
深くていい色合いだったですよねえ。
映画みたいだった。
いろんな心の病を抱えた人を描いているので、
題材的には奇抜なものが多かったんだけど、
それを奇抜と感じさせなかったのは演じられた役者さん達の演技力だったんだと思います。
登場する男性陣がみんなキュートだったなあ。
小日向さんの有能で権力志向の強い理事長も、
ステレオタイプにならず、面白い人物として演じられていました。
最終回で実は理事長にもコンプレックスがあって、
自分を認めなかった父に対する反逆心が行動の基盤にあった・・・という話も語られたんだけど、
そんなのはきっと蛇足で、そんな設定なくても十分面白い人物でした。
夢乃に執着して、倫太郎にちょっと嫉妬している部分を巧妙に隠している感じや、
計算高さと器の大きさを感じさせながら、けれども大物にはなりきれない弱さを感じさせるところも
とても人間らしい感じのキャラクターに仕上がっていて、
小日向さんが持っていらっしゃる持ち味を存分に活かした役だったなあと思いました。
石橋蓮司演じる大物政治家は分かりやすく2面性を持っていて
これをマンガチックに演じられているのも面白かったし、
倫太郎とはライバル役の宮川先生も、
最初なんでこんな役に長塚圭史さん? って思ったんだけど、
この役だんだん面白くなって行きましたよね。
分かりやすい上昇志向とライバル意識、最終的に倫太郎寄りになってしまうって所まで
お約束と言えばお約束なこの役をちょっと面白い存在感で演じられていました。
主人公を取り囲む病院の面々は結構オーソドックスな人物配置がなされていたと思うんだけど
特に男性陣の役者さん達が振り切った演技をして、役を膨らませていた感じ。
そして女性陣ではやはり蒼井優さんと高畑淳子さんがすごかった。
この二人の熱演に大きく引っ張られて見ていた気がする。
蒼井さんの、視線を動かすだけで、「あ、今人格が入れ替わった」って思わせる演技力もすごかったし、
全力で壊れた母親を演じている高畑さんのエネルギーがすごかった。
途中何度も殺意が沸きましたもん!
なんでこんな母親捨てちゃわないのよ! って思いましたもん。
でも、そんな母親でも捨てられない思いもちゃんと蒼井さんの演技から伝わって来て
切なくて切なくて・・・(ノ_・。)
共依存ってこういうことなんだなあってつくづく思いました。
蒼井さんの演技は二つの人格の演じ分けという点でももちろん素晴らしかったんだけど、
なにより、あきらの「お母さんに愛されたい」という思い、
夢乃の「あきらを守らなくちゃ」っていう思いを強く感じさせたことが素晴らしかったと思う。
それはおそらくこの役の本質的な部分だったろうから・・・。
夢乃を側で支え、血のつながりはなくてもあるべき母性を感じさせていた余さんも素晴らしかった。
改めて母親ってなんだろう・・・と考える契機になりました。
そして、やっぱり素晴らしかったのが堺さん。
堺さんってやっぱり受ける演技が上手いと思うんだけど、
今回はまさに受けの演技を要求される役。
堺さんが日野先生としてがっちり他の役者さんの演技を受け止めたからこそ
ドラマ全体に説得力が出たんだと思います。
共感することで患者の心に寄り添っていく日野先生。
共感・・・というのが演技として表現するのが難しいだけに、
日野先生の優秀さを他の登場人物のセリフで説明しているシーンも多いんだけど
それが主人公アゲの空々しいセリフと感じずに済んだのは
やっぱり堺さんの演技の裏付けがしっかりあったからだと思うんですよねえ。
このドラマはとにかく役者さんの演技が印象に残ったドラマでした。

web拍手 by FC2

アルジャーノンに花束を

ご無沙汰しておりました。
そろそろ梅雨明けの声も聞こえる中、
みなさん如何お過ごしですか・・・なーんて挨拶したくなるくらい、
ご無沙汰しておりました・・・(;´▽`A``
というのも、ここしばらくは久しぶりに、本当に久しぶりに、
試験勉強というのをやっておりました。
会社に受けろと言われた通信教育の試験勉強・・・( ̄ー ̄;
基本的に学ぶということは好きなので通信教育自体は
まあまあ楽しく自分のペースで勉強できていたんですが
(去年1年間くらいかけてぼちぼち課題提出やってた)
それに付随するテストが嫌で嫌で・・・。
記憶力という物がないんですよ。
これは昔から・・・。
英語だって辞書さえあれば、読むだけなら読めますが、
いかんせん、どうやっても単語が覚えられないので試験が出来なくて・・・。
文系で英語が出来ないって致命的(ま、英語は理系も必要だけど・・・)
仕方なく国語一本でなんとかなる大学になんとか滑り込んだと言うくらい記憶力がダメ。
受験さえ済んでしまえば、記憶力がなくても何とかなるんですよね。
その知識の調べ方さえ身につけておけば、必要なときに調べればいい。
記憶しなきゃならない・・・というこのなんともいえない絶望感を久々に味わいました。
年齢的に昔に輪をかけてものが覚えられなくなってるし・・・。
しかも、ほとんど知名度のない資格試験なのでモチベーションも上がらない・・・orz
もともと資格そのものにも興味ない性格なので、
自分の時間がそんなのに削られるのが本当に苦痛。
でも会社がお金出してくれているのでほっぽっとくわけにも行かず・・・。
会社に行く時間、家のことをする時間、寝る時間・・・を引いたわずかな自分の時間を
趣味じゃないことに使わなければならないって言うのは
めちゃくちゃストレスがたまっていました。
ま、ドラマは隙間隙間で見てましたけどね(;´▽`A``
ああ、これでようやく自分の時間が取り戻せる~。

というわけで中断していた春ドラマの感想です。
春は結構たくさん見ていたのに、まだ一個しか書けてない・・・。


「アルジャーノンに花束を」
これ、原作が大好きなんですよ。
そんでもって、2000年に放送されたユースケサンタマリア主演のドラマも大好きでした。
優しくて切ない岡田脚本の神髄っていう感じの名脚色。
主人公を捨てたお母さんに大きくスポットライトをあてて、
主観の物語であった原作を、主人公を囲む人々をも含めた優しい物語に変えていました。
だから見る前からちょっとやめて欲しいなあ・・・って気分もあって・・・。
野島さんだから、主人公の扱いがどうなるのか、目に見えるような気がしたし。
主題歌も大好きな「ローズ」。
もう、ほんま、やめて・・・っていうのが正直な気持ちでした。
でもまあ・・・思ってたほどではなかったかな。
野島さんは企画のみと言うことで、それほど野島作品という感じがしなかったし。
ただ、いろんなものを詰め込み過ぎかな・・・という気はしました。
主人公の手術に平行して難病の少女を登場させて
その少女を主人公が救うという設定も、
お父さんとの関係や友情という新機軸も描いて、
尚かつ原作にあった恋の要素も、
ユースケ版のドラマで描いたお母さんとの関係も
いっぱいいっぱい詰め込めるかぎり詰め込んでみました・・・という感じ。
詰め込んだ分、一つ一つの要素が薄まった・・・というか
どこに力点を置いているのかよくわかんなくなっちゃった。
プロット的にはいろんな要素が詰まっていて面白いんだろうと思うんですよね。
でもドラマになったときにプロットの面白さがドラマの面白さに繋がらなかった気がします。
だからどうしても、詰め込みすぎたんちゃうん?
っていう感じがしてしまう。
だって、原作(主人公が驚異的な知能を獲得してやがて失う)部分だけで
あれだけドラマチックだったんですよ。
原作が持っている本来の味が損なわれてしまった気分・・・。
素材が素晴らしいのに、余計な手を加えすぎたせいで
平凡な料理になってしまった・・・みたいな感じ?
最後に友達の元に帰っていくって言うのも弱いよなあ・・・。
たぶんここがもっとも新しい部分だったんだろうけど。

役者さんたちは好きな人がたくさん出ていて、
それだけでなんとか最後まで見られた気がします。
窪田くんはやっぱりいいなあ・・・。
もうちょっと中盤であのキャラクターを活かせていたらなあ・・・。
工藤君も工藤君らしい役で、
山P、窪田くん、工藤君の並びは絵的にとても好きでした。
それだけに何とも残念な思いの残るドラマでした。

web拍手 by FC2