心機一転

さて、カーネーションも恋愛パートを抜けて今日から新しい展開。
土曜の重苦しい色調から一転、もとの明るい世界観に戻りました。
三姉妹はそれぞれ成長し、
大人たちもそれぞれ老けて・・・。
正司ばあちゃんが得意だった鰯は、今はお母ちゃんが煮るようになりました。
親族会議で糸子を怒鳴りつけた木岡のおっちゃんもいいおじいさんになって盆栽いじり。
木之元のおっちゃんとこにあんな大きい息子さんがいたとは知らなんだ。
昌ちゃんも恵さんもちゃんと店にいます。
北村さんもいつの間にか小原家に出入りしているよう・・・。
いないのは、周防さんだけ・・・。
嘘をついて糸子を陥れた北村は独身というだけで小原家に喜んで迎えられるんだよねえ・・・。
とちょっとぐちってみる。
寂しいけれど、まあしゃーない・・・。
先週末に糸子と一緒に十分納得はできてます。
それにしても現実にいらしたらしい「おっちゃん」の存在を、
北村と周防に分けたところが素晴らしい。
恋愛パートは周防に任せて、集中してその顛末を描いて退場。
後まで続く家族ぐるみのつきあい、商売の相方としての役割は
独身の北村に背負わす・・・。
北村が妻帯者だったらまだまだ重苦しい空気を引きずらなくてはならなかったところです。
やっぱり朝からそれはしんどいもんね・・・。
私が見るのは夕方~夜だけどね。
今まで完全に糸子一人が物語の中心だったけれど、
これからは娘たちにも焦点が当たっていきそうな予感・・・。
もちろん糸子もまだまだ健在だけど、
それが年を重ねるということなのかなあと思いました。

夕べ、とりあえずハードディスクに残っている90回から97回までは保存版にしよう・・・と
DVDにまとめて入れました。
(周防さんの登場回から残しておけばよかったと激しく後悔)
ダビングしながら見直してみると、
95回までは本当に明るくて楽しい場面が多いですよね。
恋に浮き立つわくわくした感じが何度見ても楽しい。
金・土とあまりに重い回が2回続いたので、
周防さんの思い出がほろ苦い切ないものになっていたのですが、
改めてその2回が特異な回だったのだと思いました。
月曜に「好きでした」の告白シーン(の続き)から始まっていたこと、
すっかり忘れていました。
なんかずいぶん遠い昔の話のような気がする・・・。

見直していて改めて気づいたこと。
周防さんって基本的に受け身の人で、
おそらく糸子が「好きでした」って言わなければ気持ちを糸子に伝えることはなかったろうし、
ヒモ状態になって糸子の側に居るときも、
自分からああしたいこうしたいと言うことはなかったように思います。
辞めずに糸子の側に居るのも、
糸子がそれを望んだからだし。
でも、たった一つだけ自分から糸子に行動を起こしていることがあるんですよね。
糸子の店で働きたいと申し出た時。
組合長にたきつけられたとはいえ、
周防さんが一生懸命糸子に何かを申し出ているのって、
後にも先にもあれだけだったと思います。
だから周防さんにとって糸子の店で働けた日々、
噂が出始めるまで2ヶ月弱というところでしょうか・・・
その期間が一番幸せだったのではないかと思います。
糸子は金をかけてお店を用意しても周防さんを喜ばせることはできませんでしたが、
職人として(自分の妾としてではなく)周防さんを雇ってあげたことが
何よりも周防さんを喜ばせていたんだろうな、と思いました。

恋の終わり2

一晩寝て、ずいぶん気分がすっきりしました。
まるで長い恋からようやく目が覚めた気分。
見事に糸子と同調して周防さんに恋していたみたいです。

一晩寝て、あちこちの「カーネーション」の感想なんかを読みながらいろいろ考えていたら、
急にすんなり腑に落ちました。
そうか、周防さんは覚悟を決めて全てを受け止めようとしていたんですね。

金曜の放送で、周防さんが
「おいがやめましょうか」
と聞いたとき、
糸子が言った言葉。
「側に居てください。周防さんが居てくれたら、何言われても耐えられる」(だったと思う、まあ、こういう要旨でした)
この言葉を聞いて周防さんは覚悟を決めたのだと思います。
噂がたつことで失いかねない糸子の大切なもの。
店や従業員の信頼や、糸子を支えている商店街の人々や家族・・・
自分が身を引いても、噂がたってしまった以上、後の祭りかもしれません。
それでも自分ができることはそれだけしかない・・・と思ったのに、
糸子は自分が側に居ることを望んでいる。
自分が側に居ることで糸子の力になれるなら、
今ここで、この状態の中で糸子を置いて自分だけ逃げ出すように糸子のもとから去るよりも、
その役割を引き受けようと決心したんだと思います。
客観的に見ればやっぱり周防さんがこの時店を辞めるのが一番早く事態が収まったと思うんですけど、
周防さん自身もよっぽど楽だったと思うんですけど、
周防さんは糸子の側に居続けることを選んだわけです。
原爆の後遺症に苦しむ妻を見捨てられないように、
自分のせいで窮地に陥ってしまった糸子を修羅場の中に一人残して
自分だけ逃げ出すことはできなかったんだと思います。
その判断が正しいかどうか、適切かどうかは、
きっと当事者である周防さんには分からない。
ただ、噂が町に広まってからの半年、
周防さんにとってはとても辛い日々だったと思います。
今まで親切にしてくれていた縫い子さんたちや恵さんは手のひらを返したように周防さんを避けただろうし、
おそらく2階にあがってくるのは子供たちと糸子だけ。
幸い糸子の商売は噂の影響を受けなかったけれど、
紳士服は影響が出たのではないかと思います。
糸子の手伝いを細々と続けながら、2階で一人で過ごす日々。
世間に男妾のように言われて、
実際自分の家族の生活費もすべて糸子の店からもらっているわけで
(この段階ではもはや対等とか仕事に見合った賃金とは言えなくなっていると思います)
その上子供たちのおやつの心配まで糸子にさせて、
男としてはキツイ日々だったと思います。
それでも糸子が辛くなったときに2階にあがってくる。
自分の胸に顔を埋めてほんの少し元気になって下に降りていく。
世間の冷たい目の矢面に立って、
必死に店を守り自分を守ろうとしてくれている糸子に自分ができるのは、
そうやって側にいることだけだから。
どんなにプライドが傷ついても、つらくても、
全てを飲み込んで2階にいたのだと思います。
糸子が「周防さんもういいよ」
と言い出すその時まで。

けれども、その周防さんの存在が糸子の暴走に拍車をかける。
周防さんも周防さんの家族を守ると宣言した糸子は、
見当違いの方向に突っ走り始める。
暴走する糸子に周囲はますます眉をひそめ、
周防さんを傷つけていく・・・。
糸子は糸子で自分が空回りしているのをどこかで感じながら、
自分ではどうすることもできない。
糸子も周防さんもお互いのために必死でがんばっているのに、
どんどん袋小路に迷い込んで行き詰まってしまう。

結局、糸子は自分で「もうあかん・・・」と思うところまでいかないと、
この恋に区切りをつけられなかったのでしょう。
思えば、恋愛パートに入ってから予想が裏切られっぱなし。
糸子が周防に感心を示していない・・・と思わせて、
実は好きになりそうだから避けてた、に始まって、
お互いに告白したんだから次はラブラブ? と思ったら
1っかげつも音信不通。
偶然の出会いがなかったら、組合長の尽力がなかったらそのまま・・・という事態。
二人の思いが周囲にばれたら即終わり・・・と思っていたら、
そこから半年ヒモ生活なんて・・・。
とにかく展開が予想外の方向ばかりに転がっていきました。
でも、この一連の恋愛パートがまとまって落ち着いて考えてみると、
糸子は自分でとことんまでやって納得しないとこの恋が終わらせられないということよくわかります。
糸子の恋のおしまいがお互いに憎しみ会ってののしりあってドロドロ・・・って感じにならなくてよかった。
糸子の恋を最後まで糸子らしく描ききった脚本に拍手。
そして糸子が納得するまで、何も言わず側に居続けた周防さんの優しさ、強さにも打たれました。
表面だけ見たら、ずるずる関係を続けて、糸子に食べさせてもらって、
あげくには店まで持たせてもらって、なにもかも糸子に決めさせて
なんて優柔不断な優男!
ってな感じに見えてしまう周防さんの行動。
なんとか周防さんらしい筋が一本通る理屈を思いついてほっとしました。
うん、これだったらこの3週間周防さんにときめき続けた自分に納得できます。よかった。

最後の夜、そこでこの二人は一線を越えたのだと思います。
そこまで越えてなかったと考えるほうが、二人らしい気がするから。
最初で最後の幸せな夜を二人で過ごして、お別れ・・・。
今までの重苦しい恋をさらりと優しく終わらせてくれてよかった。
二人の恋が冷めたではなく、
憎しみ会って別れを決めたでもなく、
二人ともが二人で居ることの未来に見切りをつけた末の別れ。
そうでないと前に進めません。

家に帰ったら母ちゃんが寝ずに待ってました。
糸子は30才を越えてます。
ちゃんと結婚もしてました。
今は一家の長です。
不倫している(というか男を囲っていると言うことになっている)こともみんなが知ってます。
そんな娘を徹夜で待ってるなんて、お母ちゃんかわいらし過ぎます。
いつまでたっても、息子みたいな娘でも、
娘に変わりはないんやね。
糸子も朝帰りをとがめられた若い小娘のようにお母ちゃんの糾弾をひらりとかわし、
2階に駆け上がって行きます。
部屋を開けると3人の娘が川の字で眠っています。
思えば早朝、まだ薄暗いこの部屋で念入りに化粧をして北村さんのお店の開店祝いに出かけたことが
全ての始まりでした。
今子供たちの部屋には明るい光が差し込んでいて、
子供たちはみんな幸せそうな夢の中。
その空いてる隙間に身体を横たえて、糸子はお母ちゃんに戻りました。
ちゃんと前に進んでいくために。
やっぱり周防さんとセットで描かれていた三姉妹。
決断するときに関与するかなあと予想していたのですが、
糸子が帰ってくる場所として描かれていました。
脚本的な構成のうまさにも脱帽です。

うまいと言えば、ねじ巻き時計。
周防さんと再会するときに糸子が時計を壊すから始まって、
さりげなくちりばめられていましたね。
北村の工場で糸子が壊した時計を周防さんがなおしていたり、
周防さんが糸子の店で働き始めた時は、周防さんがねじ巻き係でしたね。
それもこれも、全てこの別れのシーンにつながっていたとは・・・。
周防さんの新しい店には電気式の時計を取り付けた糸子。
「ねじ巻き式は巻きすぎると壊れてしまうさかいなあ」
巻きすぎると壊れる時計・・・
巻きすぎたのは周防だったのか、糸子だったのか・・・。
「うち、どこで間違ったんやろう」
という問いに
「間違ってないよ」
と返す周防さん。
そうだね、二人でいる以上、どこでどの道を選んでもたどり着くのは袋小路。
それは分かっていたのに、押さえられなかった思い・・・。
理屈では割り切れないのが恋心、ですね。

ファンの間ではかなり物議をかわしたこの3週間の恋愛パート。
綾野さんへの好き嫌いが関与しているところも多分にあると思いますが
(綾野さんっていかにも現代的なイケメンさんですから、個人的な好き嫌いの差は大きそう・・・)
不倫というだけで毛嫌いされた方も多そうでした。
糸子の、周防の行動に熱い議論があちこちで。
それぞれ自分の人生観や体験に根付いた熱い思いがあるようで、
そういう人生観の根幹に触れるようなテーマだったんでしょうね。
NHKなんだから、朝ドラなんだから、こういうネタは避けるべきみたいな意見もあって、
それはなんとなく腑に落ちないものを感じていたのですが、
金曜日分と土曜日分の放送を見てつくづく思いました。
脚本家さんや制作サイドは、そんないろんな議論や反論は全て承知の上で、
あくまでも糸子のドラマとしてこのドラマを作り上げようとしていたことを、
そして糸子の物語にはよかろうか悪かろうがこの恋は必要だったからしっかり描いたのだと。
避けようと思えば避けようがあったと思います。
実際、ドラマも現実とは大きく変えてアレンジされているし。
でも、あえて避けずにがっちり糸子の恋を描いたところに、制作サイドの心意気を感じました。
昨今のドラマで嫌になるのはいらぬ批判を避けようとくだらない気を回しすぎること。
そういうドラマが面白くなることはまずないといっていい。
「カーネーション」が面白いのも道理だと思いました。

個人的な勝手な妄想。
開店後、きっと組合長は訪ねて行ってますよね、周防さんのテーラーに。
糸子は組合長んとこに、
「周防さんが隣町でテーラーをだすから力を貸してやってほしい」
って頼みに行ってそうな気がする。
組合長も糸子と周防さんの噂を聞いて、周防さんをたきつけてしまったこと、
ちょっと後悔してたかもしれないから、
繊維組合に復帰するのは無理にしても陰になり日向になって、周防さんをバックアップしてあげるんじゃないかな。
だって情があつそうだもん。

恋の終わり

難しかったあ・・・今日のカーネーション。
ああいう形で二人の恋が終わるであろうことは新聞のあらすじを読んで知っていたから、
後はどうその方向へ持って行くのかと思っていたんですけど、
難しい・・・私には解釈しきれない部分が多すぎました。
まず、時間が半年近く進んだことにびっくり。
糸子は親族会議で「周防さんはこのまま雇い続けます」と言ったけど、
正直言ってそれは無理やろうと思っていました。
糸子はやりとげるだろうけど、周防さんはそんな針のむしろ状態のところで居られないだろうと思ったから。
早晩決着が着くと思っていました。
そしてそれはたぶん周防さんが身を引くという形だろうな、と予想していました。
けれども予想に反して、周防さんは小原洋裁店に居続けたようです。
子供たちと仲良くオルガンを弾いたりして。
(インタビューで博多弁と三味線とオルガンに苦労したってあったので、いつ出てくるんだろうと待っていたのに、
昨日の段階で出ていなかったのでカットされたのかと心配していました)
まず、その点が分からない。
打算的に考えたら糸子の店を辞めたら仕事がないから。
家族を養わなくてはならないのに、ますます評判が悪くなっている自分を雇うテーラーはないだろうということ。
確かにこういう現実的なことは多少あったでしょうが、
でもそれだけであのキツイ場に居続けられるとは思えない。
糸子への愛情?
もちろんそれもあるでしょうが、家族に対する愛情も十二分に持っているようだし、
子供が登場しつらい思いをしていることをしっかり描いたので、
家族がつらい思いをすることがわかっていて、それでもなお糸子をとるということが説明しきれない。
糸子が自分の店を出そうと計画しているとき、周防さんは何を思っていたの?
周防さんはどうしたかったの?
何より、男妾のように世間から言われて、後ろ指指されて、周防さんは本当にそれでいいの?
女に食べさせてもらえるほうが楽でいいや・・・と考える男は世の中にいますが、
周防さんはそういうタイプの人間ではないでしょ?
腕をいかして、素晴らしい服を作って、お客さんに喜んでもらえることが幸せだと考えている人でしょ?
考えれば考えるほど分からなくなってしまいます。

糸子はね、よーーーく分かるんです。
店の従業員に冷たくされても、
世間の人から後ろ指指されても、
稼げば文句ないんやろ! と思ってる。
幸い噂は商売には響かなかったようで
(商売に響いていたらもう少し結果が早く出ていたかも)
糸子の商売は順調そのもの。
商売がうまくいっているその勢いを利用して、
猪突猛進、何もかも強引に思い通りに進めようとする・・・
あれ、この構図、どこかで見たことあるぞ・・・
と思ったら、善作さんのお葬式の時と一緒です。
自分とこは稼ぎがあるから、配給の列に家人を並ばせるようなことはさせない・・・
というある種のおごり。
後先考えずに立派な葬式出しちゃる! と勢い込んで、
受けずに済んだ誹謗中傷を招いてしまった。
あの時は世間っちゅうもんの厳しさを身にしみて感じて、
自分は周囲の人間に助けられて生きている。
そして、自分を助けてくれる人たちをお父ちゃんは残してくれたんだなあ・・・
ということに気づいたわけです。
糸子はすぐに天狗になってしまうけど、
ちゃんと自分を振り返って反省できる人です。
今回もちゃんと自分で気がつきました。
自分がいい気になって突っ走って、自分の稼ぎがいいことを振りかざして、
周防さんの夢を奪ってしまったことに。
周防さんが周防さんらしく生きる機会を奪っていることに。
糸子が周防さんにしたことは、
まるで仕事にかまけている親が子供に高いおもちゃをいっぱい買い与えているかのよう。
どこかちぐはぐでどこか的外れ。
糸子も自分が周防さんも周防さんの家族も守る! と力めば力むほど、
周防さんが笑わなくなっていることには気づいていました。
気づいているけど、どうしていいのか分からない。
でもこの四面楚歌の逆風の中で耐えていけるのは、側に周防さんがいればこそ。
周防さんをつなぎ止めるためにますます力が入って、
その終着点があの店でした。
開店の準備が決して楽しそうじゃない周防さんを見て、ようやく気がついた。
だって北村さんの店の開店準備をしている時はあんなに生き生きしていたもの。
糸子はそんな周防さんに惚れたんだもの。
糸子が気づいて立ち止まるということは、
二人の関係が終わることを意味します。
私は誰かに二人の関係がばれてしまった時が別れの時だと思っていたのですが、
どうも違ったようです。
二人の運命を乗せた船の舵を取っていたのは糸子。
告白したのも糸子からだったし、
周防さんを雇うと決めたのも、糸子。
別れを決めるのも糸子でなければならなかったようです。
糸子が決めるまで、自分からは何も言わなかった周防さん。
二人の心がずれ始めていることに気づきながら、
それでも糸子が寄りかかってきたら抱きしめてやる周防さん。
でもそれってずるくない?
周防さんのイメージがかなり崩れてしまいました。
今まで、周防さんってきっとこんな人・・・と思って抱いていた人物像と、
この回の周防さんの行動がうまく結びつかない。
これやったらただの優柔不断のヒモやん!

ただ、このカーネーションというドラマ、
その辺のドラマがしょっちゅうやらかすような、
キャラが途中で崩壊してグダグダになる・・・というドラマではないと思います。
今日の話もすごく完成度が高いいいエピソードの終わり方だと感じたし、
周防さんの複雑な表情からも、
きっと表面から感じられる以上の周防なりの理屈というものがあるのだと思います。
周防さんの気持ちが納得できたら、
この一連の不倫エピソードの終わりがもっと深いものに感じられるのではないのかと思いました。

うまく周防さんの気持ちと行動に説明がつくようになったら続きを書きます。