いつか読書する日

日本では珍しい、大人の、恋愛映画。

ヒロインが田中裕子、相手役が岸部一徳っていうのが渋い。

坂の多い町って大好き。

特に映画でそういう町を舞台にしている作品は、

なんでもない町並みをみているだけで心癒されます。

それにしても、好きな人が同じ町で暮らしているのってやだな・・・って思うのは私だけ?

しかも、ちゃんと結婚して、家庭をもって・・・。

相手に気持ちを残していれば尚更、その町で生活するのはキツイなあ・・・と思いながら見ていました。

結婚している男性側からしてもキツイ状況だと思うのですが、

そこは私がまだそういう境地まで至っていないからなのかもしれません。

静かに熟成された想いは、死に向かう奥さんに後押しされて成就するわけですが、

ちょっとその展開にビックリしました。

なんとなくプラトニックなままで物語が終わると勝手に思っていたものですから。

それも含めて、私はまだこの境地に至っていないのでしょう。

うっかり涙してしまった箇所は、

主人公達の恋物語の部分ではなく、

虐待を受けている小さな子が、

スーパーでコロッケを万引きして、弟に食べさせている場面。

高梨が意外に熱血漢で仕事にも情熱をもってあたっていることがよく分かる場面。

もちろんラストへの伏線なのでしょうが・・・。

ラストはとにかくびっくり。

暴力的にプツンと断ち切られてしまったように感じました。

まあ、あの二人のその後を上手く描くのは難しいでしょうが。

単なるハッピーエンド・・・っていうのも何かすっきりしないしね。

だって、亡くなった奥さんがかわいそうすぎる・・・[E:weep]

あれだけお互いを意識しながらも口をほとんどきかなかった二人が、

二人きりで相対したときはちゃんと同級生同士のような打ち解けた口調でしゃべっていたのが印象的でした。

この映画の監督、「死刑台のエレベーター」の監督だったんですね。

映像の雰囲気が全く違うのでビックリしました。

個人的にはこの「いつか読書する日」の柔らかい(でもちょっと突き放した様な)日常を描いた作風のほうが好きですが、

「死刑台のエレベーター」のクールで無機質な感じもかっこよかったので、

職業監督として幅の広い作風をお持ちなんだなと思いました。

うううっ、狭くてもいい、壁一面に本の詰まった部屋に住んでみたい・・・。

沈まぬ太陽

テレビでやっていたのを録画しいて、ようやく見ました。

一気になかなか見られなかったので数日に分けて[E:coldsweats01]

映画の見方としてはめちゃくちゃ邪道です。

だって長いんだもん・・・。

長いことと内容が重そう・・・ということがなかなか見る気がしなかった大きな理由ですが、

見始めてみると、やっぱり山崎豊子さん原作の作品だけあって面白い!

「大地の子」や「白い巨塔」をドラマで見たときと同じような感じで

ぐいぐい映画の中に引き込まれていきました。

これはフィクションなんだ・・・と自分に言い聞かせていても、

現在の日本航空の状況をみていると

そっくりそのままではないにしろ、

やはり近いことはあったのではないかなあ・・・という気にさせられます。

自分たちの利益や保身の為にしか働かない人間の醜いこと!

この腹立たしさや怒りは、

「ハッピーフライト」を見た後の感想とは真逆の感想で・・・。

「ハッピーフライト」ではANAのマークをつけた飛行機が大空に飛び立つ映像を

心を躍らせて見たものです。

ああ、飛行機ってかっこいい!

乗りたい!

そういえば、昔キムタクのドラマもANAでしたよね。

ANAはこういうメディアを使った宣伝が上手です。

一方日本航空はというと、ちょうど私がこの映画を見終わった翌日、

鶴のマーク復活というニュースで、新聞に飛行機の写真がばんばん出ていましたが、

いちいちそのマークにむかついてました[E:angry]

なんでも、この映画を制作するにあたっても様々な方面から圧力がかかった様子。

そんなことしたらこの映画の内容が本当だって自ら言ってるみたいなもんやん・・・

あほちゃうん[E:despair]

そういう力のかけ具合のちぐはぐさは今の日本のあちこちで感じるよなあ・・・。

政治の世界も、他の巨大企業も・・・。

人間が本質的にエゴの生き物だって言うことはわかっているけど、

日本の根幹を動かしている人達がその責務を果たさずに、

自分たちの仕事の本質を全く理解していないことが、

今の日本の閉塞感を生み出している一番の原因だと思うんですけど!

いいかげんにせい! 民主党!!

と、全く違う方向に感想がいってしまいました。

山崎さんの作品はきっちりとした取材に裏付けられてリアリティがあることはもちろんですが、

そこで繰り広げられる人間ドラマが面白くて、

ついついぐいぐい引きつけられるんですよね。

特に悪役の人物造形が上手いから、

主役に肩入れしながらどんどん物語に引き込まれていく。

自分は正義の側に立っていると素直に信じさせられながら。

現実に非常に近いだけに、

これが真実だと誤解しかねないところが注意点ですが、

エンターテイメントとしてこういう社会派の題材をこれほど面白く魅せてくれるその技量はすごい。

・・・とはいえ、原作はまだ読んでないんですけどね。